先日、太田龍さんの忍ぶ会があり、参加したところ鈴木邦男さん遭遇した。何と彼は太田龍さんを一水会にお呼びして、学習会を開いていたらしい。
鈴木邦男さんと太田龍さんは思想家というところでは一致しているけれど、イメージが違う。
例えば鈴木邦男さんは一貫して「愛国」をテーマにさまざまな作品を執筆していきたのに対し、太田龍さんはマルクス主義、アイヌ問題、自然食の運動、動物愛護の問題、ユダヤ問題、天皇制の問題、さらに爬虫類人の問題まで、テーマを頻繁に変遷させている。
その一方で、鈴木邦男さんは右翼、左翼、ミュージシャン、格闘家、政治家などさまざまな人たちと打ち解けて交流してきたけれど、太田龍さんは気が合わなければ、どんどん人間関係をたってきた。
そんな意味で違った二人に接点があったのは不思議な気がした。
ちなみどちらも人間的には優しいというところでは共通していると思うけど。
さて、その鈴木邦男さんが最近出版した「米国と愛国」を読んでみた。彼の本は最初の書き出しで、かなり読者を惹きつける魅力がある。
戦中生まれの鈴木邦男さんの胎教は「鬼畜米英」だったらしい。女学生たちが槍でわらを突き刺し、「鬼畜米英」と突進していく。そんな話は私の母からも聞かされていたから本当のことだ。
原爆や空襲を浴びせるほどのテクノロジーのある米軍にどれほど効果があるのか疑問な政策だ。けれど、女子学生に反米反英国意識を育てるのには役にたったはずだ。
私の母はそうした世代のせいか天皇を批判することはできないという。美智子さまは憧れの女性だったらしい。そして鈴木邦男さんも愛国少年となっていったのだろうか。
彼の本は豊かな教養に裏打ちされていて、言葉の使い方がとても正確だし、ひっかけ表現も巧みだから半分笑いながら読めるところがいい。
さまざまな人と交流してきた鈴木邦男さんは今回は特にいろんな主張や、いろんな生き方を尊重しながら書いているように思えた。
戦争の歴史を語るのは難しい。人によって見方が違う。「天皇は自分を犠牲にしようと思った気高い精神の持ち主だ」と語る人もいる。その一方で私の知り合いの左翼は「天皇は自分の命を失わないためにアメリカと交渉していた。そのため、広島、長崎の原爆が落とされたのだ」と言っていた。
いずれにしても「天皇は神様」という立場から「天皇は人間だ」というポジションにかわり、教育現場も民主主義が語られ、ずいぶん変化した。
さらにアメリカの評価となると、この本でも紹介してあったけれど、日本共産党は米軍を解放軍だと語っている。治安維持法によって弾圧された日本共産党にとっては戦争を終結し、生き地獄から解放されたに違いない。
けれど、原爆が落とされた広島や長崎ではそんなことはありえないはずだ。放射能被害は世代を超えて白血病を誘発した。ケロイドや変形した顔に苦しむ人々。
置かれた立場によって、違った印象を持つ。それは当たり前のことだ。
けれど、戦後日本とアメリカは仲良くし、日本人にとってはアメリカンドリームと言われるほど、アメリカが好きなっていく。その一方で戦争好きのアメリカ政府への反感は強く、左翼のスローガン、右翼のスローガンには何度も強調されてきている。右翼の場合は反ソ、反共のため、親米を語る人もいるけれど、その根底では民族主義がちらついている。
こうした思想の流れを追いながら、3S政策について書いてあった。私はオウムとの関わりで初めて知ったこの言葉、鈴木邦男さんの若き時代から叫ばれていたらしい。彼はそんな政策はあったのかどうか疑問らしい。
けれど、お金の流を追って行くと、この3S政策は明らかではないかと思う。
3Sとはセックス、スクリーン、スポーツのことだ。かつて俳優さんは地方巡業する貧しい不安定な存在だった。もちろんスポーツも大人になってからやるものではなかった。お相撲さんという太った人を除けば、力のある人は大工さんになったり、運転手になったりして、世間に役立つ仕事をするのが一般的だった。
戦後、メディアの影響力が強まり、日本社会に生きていた士農工商という階級性、つまり精神、食料、技術、商売という順位は崩壊していった。
私は小学校の時、先生から士農工商とは、士は命をかけてでも国を守る精神だから最も大切なこと、次に農は食料は肉体にとってなくてはならないものだから、大切な産業として次に重要であり、工は人に必要な道具や家を提供するから、次に来る。最後はただ物を流すだけで、お金を儲けるから下にくると教わっていた。
現代は何にもまして商売だ。株は流して儲けるし、お金こそが価値にまで錯覚するほど、絶対視されるようになってしまった。
テレビ、雑誌に出演するタレント、スポーツ選手は企業というスポンサーが出資してなりたっている。企業は正社員雇用から派遣、下請けへの責任転嫁をすることで、実質的な価値を生み出す人の人件費を抑え、高い人件費をタレント、スポーツ選手に保証してきたのだ。だから下請けの正社員の給与所得はほとんど変わっていないのに、高額タレント、スポーツ選手の上限はどんどんと上がっている。
ところが労働運動する人は正社員の雇用には文句を言ってもスポーツ選手の賃金は憧れのように見守ってしまうのはどうしてなのか?
メディアでカッコよく見せることで憧れ感を与えてきたのではなかったのか?
例えば、自力で球団運営できるところでも、キャラクターグッズをつくるために、工場で働いたり、販売にたずさわる人の賃金は抑えられ、スポーツ選手はその顔でさえ、お金できるほどお金持ちになってしまったのだ。
さらに廃れないセックス産業。
お金の配分が違えば、その人気だって変わるはずだ。キューバでは農民の賃金を上げたら、農業が活発になったという。
ちなみ日本では農水省によれば2007年の農民の時給は179円だという。
ブランドをつくらない普通の農家は年金によって生活しているから、成り立っている状況だ。だから年金制度が破綻したときは食料危機にもなりえるということだ。
稼げない職業は廃れ、儲かる仕事は発展する。ちなみに農業は買い手がなくならないのに、不思議な時給だ。
そして3Sという高額な賃金にありつける産業は発達していくことになる。
お金の世界を支配すれば、人間の動きはコントロールできるということは、現実が証明している。人々の心が損得に揺さぶられ、損得で生きるようになってきたからだ。
お金の世界はシビアである。給食費を払わないお母さん、奨学金を返済しない若い人たち。彼らは給食制度や奨学金制度に反抗しているのではなく、損得勘定でやっているだけのことだ。
「あそこのお母さん給食費を払っていないんだって」
「あらそう。それで問題ないなら私も払わないわ。だって払っても褒められるわけでもないし」
そんな損得の連鎖でいろんなことが生じてくる。
仕事の世界も経営者はお金を持ってくることが仕事だ。薄利多売か少人数に高額で売りつけるのか。
お金の流れを分析するといろんな真実が見えてくる。そしたら、メディアに騙されない評論家が育ってくるに違いない。
これまで陰謀論を拒否してきた鈴木邦男さんも今回の本では寛容になっていた。
たぶん鈴木邦男さんが3S政策のような陰謀論が嫌いなのは、だからどうするんだ? 3S政策で、日本をダメにしようとしているなら、闘って変えればいいのではないのか? それは日本人がそれに飛びついて、堕落していることをアメリカの責任にしていいのか? という真っ直ぐな考え方が根底にあってのことなんだと思う。
そう、あってもなくても、自分がどう向き合って生きるかなんだ、と。
けれど、今回はイラクに対して「大量破壊兵器がある」と介入し、イラクの人々の生活をズタズタにしてしまった。そして大量破壊兵器のことにはふれないでフセインを国際裁判で死刑にした。
だったら最初からフセインに対して国際裁判を要求し、正当に裁けばいいのに、戦争していったのだろうか。
イラクに行ったことのある鈴木邦男さんは、陰謀説と否定されてきた説に真実がある可能性を見出し、許容しているように思えた。
私はそこに感動した。だって闘う相手じゃない人を敵だと思って貶しあい、お互い疲れているのが現実だったと思うからだ。
真実が見えてくれば、日本人とイラク人に役に立つ派遣はあっても、貧しい人、死傷者を作り出すためにお金や兵隊を出す愚鈍は避けられるのではないかと思う。
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Archive for 6月, 2009
2009/6/25 木曜日
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2009/6/18 木曜日
読売新聞での村上春樹さんのインタビュー記事より
読売新聞で「1Q84」の著者、村上春樹さんのインタビュー記事が載っていた。
2009/6/13 土曜日
法政大学の闘いの行方
いつしか私の知人の恩田君は起訴されており、文化連盟の斎藤君も逮捕されてしまったらしい。この起訴をめぐっては、2月に当局の看板を破壊したということを取り上げて、罪が重くなったらしい。 |
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